糖尿透析予防プログラム

糖尿病と腎臓病 糖尿病から起きる腎臓病“糖尿病性腎症”が増えています。

糖尿病について、厚生労働省HP生活習慣病を知ろう!糖尿病ホームページ(監修(社)日本糖尿病協会)の“糖尿病を放っておくとどうなるんだ?” のコーナーをご覧になると、糖尿病を放っておくと合併症がでることが説明されています。糖尿病の合併症とは、糖尿病がもとになって起こる、別の病気や症状のことで、 糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害、脳卒中、心筋梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症などです。

これらの病気や症状の中でも、特に、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害は糖尿病特有の合併症で、糖尿病の3大合併症と呼ばれます。 血糖コントロールをしないでいると、糖尿病を発症した時から10~15年でこれらの合併症が出てくるといわれています。

糖尿病性腎症(糖尿病腎症)とは、おしっこをつくる腎臓が悪くなる病気です。だんだんと進行して、血液の不要な成分(尿毒素など)をおしっこに捨てることができなくなります。 末期になると生命維持のために、この血液の中の尿毒素を捨てる人工透析という治療が必要になります。現在、人工透析を始める原因の第一位はこの糖尿病性腎症です。

糖尿病性腎症の経過

糖尿病性腎症を発症した後、放置または糖尿病療養の改善をしないと、末期腎不全に進行し人工透析を受ける生活にいたります。

糖尿病性腎症の経過は、下図のように第1期(腎症前期)、第2期(早期腎症:微量アルブミン尿陽性)、第3期A(顕性腎症前期:持続的蛋白尿)、 第3期B(顕性腎症後期:持続的蛋白尿+腎機能eGFR低下)、第4期(腎不全期:腎機能著明低下)、第5期(透析療法)という順に進行します。 1型糖尿病は、第3期顕性腎症にいたれば、半数以上が10年以内に末期腎不全(透析療法が必要な状態)に至ります。 2型糖尿病では、腎症を発症した後は1型糖尿病と似た経過をとると考えられ、すなわち、蛋白尿が検査のたびに陽性になると、その後10年以内に、半数の患者さんが人工透析を受けると推定できます。

2型糖尿病性腎症の臨床経過

日本で人工透析を始める(透析導入)患者さんの原因の病気(原疾患)は、第1位が慢性糸球体腎炎から糖尿病性腎症に代わり、 2010年末の日本透析医学会の調査では、1年間の透析導入患者の43.5%が糖尿病性腎症でした。

年別透析導入患者の主要原疾患の推移

糖尿病性腎症の予防

糖尿病患者が、糖尿病の無い方と同じような人生を送ることを目指すには、この糖尿病性腎症を予防すること、糖尿病性腎症を早く発見すること、糖尿病性腎症の進行を抑えることが大切です。

最初に確認すべきことは、糖尿病のコントロールが悪ければ腎臓の障害(腎症)は必発するということです。肥満を無くし、血糖コントロールを良好に保つことが大切です。そのためには、治療の基本である食事療法に真面目に取り組むことが何より大事です。 厳格な血糖コントロール(目標 HbA1c6.5%未満)は、糖尿病性腎症の発症と進行を抑制します。

糖尿病性腎症の早期発見

糖尿病性腎症は自覚症状なく発症します。早期発見のためには、検尿検査と血液検査が必要です。検尿検査では、蛋白尿、特に早期の糖尿病性腎症でみつかる“微量アルブミン尿”を調べます。 腎臓の機能は、血液検査で血清クレアチニンを測定し、その値から算出するeGFRで評価します。

特に、糖尿病性網膜症の治療を受けている方は、すでに自覚症状なく糖尿病性腎症を発症している可能性が高いので、早期発見のため、検尿検査と血液検査を定期的に受けることをお勧めします。

また、まれに糖尿病患者さんが糖尿病性腎症以外の腎臓病にかかっている場合があります。糖尿病性網膜症がないのに蛋白尿が続いたり、糖尿病性腎症の自然経過と異なる場合は、腎臓専門医の受診をお勧めします。

糖尿病性腎症の治療

腎臓病の治療は、腎臓病の進行度に応じて調整します。糖尿病性腎症の治療において、早期から大切なことは、肥満の解消、血糖管理、たんぱく質を摂り過ぎないことです。

慢性腎臓病(CKD)重症度分類

糖尿病性腎症の治療は、①血糖コントロール、②血圧コントロール、③食事療法、④高脂血症の管理から始まり、腎臓病が進行するにつれて、⑤貧血管理、⑥骨ミネラル管理、⑦薬物副作用管理などが必要になります。

これらの治療をひとりひとりの病状に合わせてはじめて、より良い治療が可能になります。その為には、かかりつけ医と腎臓病専門医との連携が重要であると日本腎臓学会は唱えています。
遅くとも、検尿テープ検査で蛋白尿がでたら、一度は腎臓専門医を受診することをお勧めします。

よいよい治療は、その後の人生を変えます。

透析予防効果のある食事療法にご興味のある方は、当院腎臓病食事療法教室にご参加ください。

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