腎クリニック伝説

第1話"先生、私ね、主人にりんごをむいてあげたんです"

ある日の回診で、患者さんが嬉しそうに話してくれました。

"先生、私ね、主人にりんごをむいてあげたんです。"
"あ、そう"
と私は何気なく答えたのですが、
彼女のとても嬉しそうな表情に引き込まれました。

"先生、私、透析が長くてアミロイドで指が曲がらなくなっていたでしょ。
だから、主人に何年もりんごを剥いてあげられなかったの。
それが、昨日できたんです。先生、ありがとうございました。"

私は、はっとしました。

彼女は透析歴が30年を超え、透析アミロイドという合併症で手指の関節が硬直し、脊柱は前屈、膝は伸ばせませんでした。その治療のために、当院でオンラインHDFを受けようと週3回関門海峡を渡って通っていました。

"それは、良かったですね。"

でも、お礼を言いたかったのは私の方でした。オンラインHDFという治療法があまり普及していない時期のことですから、透析液の清浄化にマンパワーもコストもかなりかけて、開業1年の当院には正直負担のある治療でした。

"大変だけど、やっていて良かった。私も、元気になりました。"
わたしがスタッフに報告した時、みんなも嬉しそうな顔になりました。

第2話 送迎車"元気君"は、"他助の車"です 。

バス通院されていた患者様が、お年を召してバスの乗り降りが困難になりました。
しかし、介護保険認定は要支援でしたので、通院介護が受けられません。お独り暮らしの患者さんは、送迎を頼むこともできず、なんとかバスで通っていました。
ある日、バスから降りて数歩で転び、足首を捻挫しました。完治するまでの間、週3回の通院は、タクシーとご近所の方の御好意でやりくりできました。

本来、通院は自分の責任です ( 自助 ) 。車いすの方は自力通院は困難なため、介護保険が利用できます(公助)。自分で通院できないが、介護保険認定が要支援の方はタクシーを利用するしかありません。介護保険制度ができるまでは、タクシー通院は珍しくありませんでした。しかし、週3回(月 13回)の通院費用は高額です。

当院は、自助と公助の間の"他助"が必要だと考え、送迎を始めることにしました。
○ この送迎車は、いわゆる集客目的の送迎ではありません。
 ご自分で通院できない方への支援の車です。
○ 送迎車利用にはリスクがあることもご理解いただきたいと思います。
 例えば、 A さんのお迎えに行く途中、事故が発生し、同乗していた B さんがけがをしたとします。 B さんは、 A さんを迎えに行く車に乗らなければ事故にあわずに済んでいたはずです。
 また、医院にとってもリスクがあります。小道を送迎車が走っていて、子供が飛び出してきたらどうでしょう。
○ トラブルのリスクを避けて、お困りの患者さんのお役に立つために、当院送迎車は原則として広い二車線道路を決まったコースで定時で運行しています。
ご利用になるには、多少不便な点があるかもしれませんが、安全な送迎を継続するためのお約束事ですので、ご協力のほどお願いいたします。
(院長 田中秀欣)

門司港腎クリニック

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